June 26, 2009

フォローアップ 最近のTears For Fears

そうか……やっぱりオイラはそういう情報を発信するべきなんだろうかなと。

忘れた頃に最近のTears For Fearsである。

えーと来月に北米サマー・ツアーをやるよ。日程は以下の通り。
ソースはカートんとことかMTVサイトとかWMMO.comとか。

Tears for Fears | 2009 Summer Tour Dates
July 10, Woodinville:Chateau Ste. Michelle
July 11, Portland:Oregon Zoo Amphitheatre
July 14, Santa Rosa:Wells Fargo Center For The Arts
July 15, Saratoga:The Mountain Winery Amphitheatre
July 17, Costa Mesa:Orange County Fair - Pacific Amphitheatre
July 18, Las Vegas:Green Valley Ranch Resort & Spa
July 20, San Diego:Humphrey's By the Bay

全7公演ということで云っちゃえばミニ・ツアーなわけだけど、実は久々のツアーだよね。「Night of the Proms」みたいな企画ライブを除いて、バンドとして演奏するのは2007年夏以来丸2年ぶりか。セット・リストが気になるところだなーっと。
で、カートのサイトによればライブ・アルバムの制作がのんびり進んでいる模様。あとトリビュート盤が出る企画があるらしいのだけど、どういう面子になるのかまでは明らかにされていないね。ま、気長に待ちましょ。

あとTFF絡みのトピックスとしては2月に来日していたりしたClare Muldaur率いるClare & the Reasonsによる「EWTRTW」のカバーが一部で話題になったり。ツアー宣伝サイトにはYouTube(公式映像)つないであるんだけど、ツンとした女性ボーカルをヴァイオリン&ヴィオラ&チェロが格調高くバックアップしてなかなか秀逸な出来でんな。
The Movie』というアルバムに日本盤のみのボーナストラックとして収録されているそうなのでカバー曲まで追いかけている強者は見逃すな!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 23, 2009

Around TFF 1 『Love In The Time Of Science』 Emiliana Torrini

最近、彩音にはTears For Fearsが足りないとお嘆きの貴兄、ご安心めされい。何もかも足りないだけだから……というのも何なんで、前々からやろうと思っておったTFF周辺のミュージシャンの作品を紹介する企画をやっていこうかと思うわけだ。
ま、続かなかったらご愛嬌……。

最初なんで飛び道具的なものからにしようかとも思っていたのだけど、やっぱり正攻法で行くことにした。親切設計。

Love In The Time Of Science

Love In The Time Of Science
Emiliana Torrini

流石にここら辺は抑えているファンも多いかもしれないのだけどね。ジュエミリアじゃなくてエミリアナさんの1999年の作品。TFF的時系列で云うと『Raoul And The Kings Of Spain』の後というかLive Kings Tourの後という時期にあたる。アルバムすべてをプロデュースしているのがRolandとAlan Griffiths。しかも「Wednesday's Child」「Baby Blue」の2曲はこのコンビのペンによるもの。さらに演奏のほとんどはRolandの多重録音となれば、TFFファンにとって最重要「Around TFF作品」と云っても差し支えなかろうて。全編を通じての雰囲気は一聴してすぐにわかる『Elemental』風味。打ち込みを丹精に重ねた音を中心に据えてジンワリと盛り上がっていく感じのアレンジ&演奏である。『Elemental』がお好きでまだ聴いていない方はすぐにネット通販で調達すべきだぜ。そして乗っかってくる声はズバリ初期のBjorkそっくり。ただ、ぶっ壊れたような歌い方ではないので、大人しい性格だったアナザーBjorkといったところか(ちなみに元The SugarcubesのドラマーSiggi Baldurssonが本作の数曲で叩いている)。切々とした歌い方はTFFサウンドに絶妙にマッチしている。「Baby Blue」あたりはBjorkというよりDagmar Krauseに近いように思える瞬間もあって豊かな表現力を感じさせるものだ。もちろん「この曲、Rolandが歌ったらどうなっていたかな?」を想像しながら聴くという楽しみ方もアリだろうけどね。「Summerbreeze」という曲だけ風合いが違うのだけど、これはMark AbisというSSWの作品で、印象的なアコースティック・ギターも彼の演奏だからである。しかしこれがまたなかなかの名曲名演でな。Rolandも流石に遠慮したのかほぼ原型のままのアレンジっぽい。その後、Mark Abisがセルフ・カバーした演奏も含まれている『Changing Inside』というアルバムはかなり気になっている。ということで、さらにお得した感じまで得られる本作。繰り返すけどTFFファン必聴だ。
エミリアナ・トリーニはこの間書いたヴィゴ・モーテンセンも出演する『ロード・オブ・ザ・リング』の2作目のエンディング・テーマを歌って一躍有名になったようでな。自分の関わった作品の後にブレイクする姿をRolandがどんな思いで見ていたのかもちょっと気になるところだね。

さて、次回はAlan Griffiths+αで行こうかなと思っているのだけど、リクエストも受け付けるので何かあればコメント欄へどうぞ。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

June 21, 2009

Robert Wyattの新譜は1981年の貴重音源!

あんまり出回ってなさそうなカンタベリー情報が出てきたのでご紹介。

RADIO EXPERIMENT ROME,FEBRUARY 1981

6/30発売予定のRobert Wyattの新譜があるそうでな。Rai Tradeというイタリアのラジオ放送局のレーベルから出る『Radio Experiment Rome, February 1981』。これ、1981年のラジオ番組「Un Certo Discorso」で使われた貴重なスタジオ・ライブ音源だ。厳密には多重録音のバック・トラックばかりなのでライブではないんだが、おそらく歌は一発録りだろうからな。内容はワイアットの伝記『ロング・ムーヴメンツ』に詳しいのだけど、既存の音源を放送するばかりの毎日に疑問を感じた番組プロデューサーPasquale Santoliが、もっと制作初期段階の生まれたてに近い音楽をリスナーに伝えたいという意図の元、ワイアットに依頼して実現したドキュメント的な放送で使われた「曲名のある」音源(8曲)がすべて収録されている。実はすでに音源持っていて何度となく聴いているのだけど、マジで生々しいし、宝石を原石の段階で眺めてニヤニヤするようなちょっとヒネくれた楽しみ方ができる。中期のCANみたいな「L'albero degli zoccoli」とか、陰鬱に美しく広がっていく「Heaven Have No Souls」とか実に面白い。ちなみに「Billy's Bounce」と「Born Again Cretin」はレア音源集『Flotsam & Jetsam』にて既発だが、同時期に作られた他の作品と並べて聴いてみれば新たな発見があるかもしれない。結果的に「Born Again Cretin」だけは約2ヵ月後にキチンと録り直してシングル化された(『Nothing Can Stop Us』に収録)わけだが、他は全部ボツだったという事実も振り返れば衝撃的だ。ちなみに番組ではもっと制作途中状態の楽曲もいくつか放送されたようで、オイラの持っている音源にはリハーサルのタイトルでもう2曲ほど5分程度の未完成楽曲も入っていてな。どうせならここら辺もCD化しちゃえば良かったのになぁとは思う。元々の企画意図からしても。
しかし公式にCD化されるとは思ってもいなかった作品。収録時間は30分程度で、ミニ・アルバムみたいなものだが、まだ聴いたことがないというワイアット・ファンには必携の1枚であること間違いなし。だよ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 18, 2009

ヴィゴ・モーテンセンという音楽家をご存知だろうか?

℃-uteのゲキハロ絡みでニュー・シングルの話か、過去作品のDVDの話にしようかとも思ったのだが、まーたアイドルばっかり連発してーと云われるのも何だなぁということで、ぜんぜん違うネタにした。ま、女子にとってはアイドル的な人なのかもしれんが。

Viggo Mortensenを知らない日本人はかなり減ったんじゃないだろうか。何しろ『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンだ。オイラはクローネンバーグ監督が好きなので『ヒストリー・オブ・バイオレンス』で初めて知ったクチ。あ、『イースタン・プロミス』ってば、まだ観てないや……。見るからに不器用そうな朴訥そうなタイプの俳優だよね。

で、このオッサン、映画俳優だけに飽き足らず、写真家として作品集を出していたり、出版社を作っちゃったり、様々な芸術分野で活躍していたりするのだ。見た目と違って多彩。そしてミュージシャンとしての顔も持っている。この辺はディープなファン以外にはまだ知られていないところなんじゃないだろうか。しかし、俳優が音楽活動することはさして珍しいことじゃないわけで、何でオイラがそのうち聴いてみたいものだわいと思っていたかというと、このオッサンの音楽活動の相方が常にBucketheadだと知ったからだった。もちろん元Guns N' Rosesのね。ハハハ。

もう一つのパレード

『もう一つのパレード』 Viggo Mortensen
この間、池袋のdisc unionで入手しちった。英題は『The Other Parade』らしいのだけど、もうジャケに日本語書いちゃってある~。怪しい~。どこかの日本のレーベルが仕掛けたのかと思いきやさにあらず。Perceval Pressなるヴィゴ自身の出版社から出ているものであった。何か親日家らしいんで、その辺りからアプローチしてタイトル付けたのかもしれん。ライナーノーツが演奏者と楽器くらいしか載っていないので、コンセプトとかはまったくわからないんだけどね。調べたら1998年に『別のパレード』として出ていた作品の2003年再発盤という位置づけのようだ。「recorded live at viggo's venice」とか書いてるので、要するにヴィゴのスタジオでみんなして一発録りみたいな感じっぽい。作曲者表記もないし、インプロばかりなのかもしれないな。で、もしかして小難しい音楽なのかなぁと思いつつ聴いてみたのだけど、意外と楽に聞ける曲が多い印象だった。とは云え、例えば同じ俳優でもドン・ジョンソンのCDみたいなのかと思って聴き出すとドン引き請け合い。オール・インスト。1曲目からしていきなりドリルの音から始まって曲名見たら「ある歯科医の死」ってどんなネタだよ!?と思わざるを得なかったり、ヴィゴの演奏楽器としてライナーに書かれている中で一番多いのがmotorcycle mufflerっていわゆるバイクのマフラーだったり、もう何て云うんでしょうかとてもわかりやすい。Bucketheadをはじめ多くのミュージシャンが参加しているのだけど、同じような趣味嗜好を持った人たちばっかりだったんじゃないかと思わせる一体感をみせる演奏ばかり。インプロにしては構築度が高いと思える。曲名と音楽だけで想像を膨らませるしかないのだけど、なかなか楽しめた。もっとBuckethead大活躍~も期待したところがあったのだけど、思いのほか堅実にサポートに回っていたようで、これまたいつもと違った顔といったところが面白かった。
そんなわけで皆さんにオススメできる作品なのだけど、アマゾンとかHMVとかでは扱いがないようだし、Perceval Pressの作品ラインナップからもはずれている模様。『This That And The Other』というベスト盤で数曲は聴けるようだけど。そんなわけで地道に中古屋で探すしかないのかなぁ。でも見つければ高いものじゃないかも。オイラ300円くらいで買ったし。

ヴィゴの音楽作品はけっこうな数(CDでも10作品以上)が出ており、本作など一部の作品以外のCDは比較的容易に入手できる。
Bucketheadと連名名義で出ている『Pandemonium from America』、近年の作品である『Time Waits for Everyone』『At All』辺りもぜひ聴いてみたいところだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 16, 2009

℃-uteちゃんの「あたるも八卦!?」観て来たさ

こっそり℃-uteちゃんが出演する劇団ゲキハロ第6回公演「あたるも八卦!?」を観て来た。初日だな。チラシなんかには明日が初日って書いてあるけど。

「あたるも八卦!?」

ネタバレ少なめで感想。前回の反省から、とにかく情報シャットアウトして臨んだのだけど、タイトル通りの「占いを軸にしたスッタモンダ」な話であった。そのまんまやんか。ぶっちゃけアイドルもの商業演劇としては赤点と云わざるを得ない「携帯小説家」と比べたら及第点といったところか。突飛な設定を取っ払って普通の同級生にしたってこともあってテイストは「寝るキュー」に近づいた。ナチュラルっぽい彼女たちの魅力がムリなく楽しめるという点は良かった。何か観ていて落ち着くなぁと。オチが説教くさくなりそうなネタのわりに、淡々と終わったのも評価できる。しかしだなー、各メンバーのパブリック・イメージにおんぶに抱っこしすぎちゃった感がちょっと惜しい。サムシング・ニューがない。あと、この娘にこのセリフ云わせちゃうんだージ~ンという感動がない。℃-uteちゃんが出てさえいればそれでいいんだもん!な皆様以外にもうひとつ勧めづらいわけで……ま、やっぱりそんなもんなのかなぁ。ただ、これは「また聞き」レベルの話なので信憑性はアレなんだけど、実は来年から演劇は減少傾向になるという噂を聞いているので、生で彼女らの芝居を観たいという貴兄は要チェックだとは思う。週末には岡井千聖生誕祭とかもあるんだなぁ。

で、まぁ、今回の舞台は学生時代の盟友・しおつか君が出ているっていうのもあって、そこもまぁ楽しみではあったのだけど、舞美様の父親役ということに軽く眩暈を感じたよ。ああ、オイラもそんな年齢だったっけなぁ……。ぐるぐるどーん。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 10, 2009

訃報続きで…… Hugh Hopper亡くなる

次はそろそろTears For Fears関連かな。忘れた頃だろうし。と思っていたところに飛び込んできた訃報。もう何か愕然としますよ。コメント欄でホッパー兄弟のこと書いたばっかりだし。

Hugh Hopperが6月7日に白血病で亡くなったとのこと。64歳。ホッパー兄弟の弟の方で、兄Brianより先に鬼籍に入ってしまった格好。昨年のHUMI公演での来日がポシャッたあたりから、どうにも雲行きがあやしいなぁとは思っていたんですがね……。カンタベリー音楽を知らない人に念のため書いておくと、そのカンタベリー音楽というシーンそのもののスタート地点とも云われるバンド、Wilde Flowersのメンバーであり、その後もSoft Machineをはじめいくつものシーンを語る上で重要なバンドやソロなどの活動を通じて数多くの名作名演を残した偉大なベーシストにして作曲家ということになるだろう。

A Remark Hugh Made

オイラは1995年のKramerとの来日公演で彼の姿を目の当たりにしている。元々はDaevid Allenも来日してGong名義(もう本当に名義だけだよなぁ。KramerとやっていたのもNewYork Gongだし。でも天邪鬼なオイラはそれ故に興味深々だった)の公演になるはずだったのが、Allenが来日NGとなり、Kramer名義になったという曰く付きのライブだったのだが、実はGongについて不勉強で、2人のデュオで前年に発表されていたアルバム『A Remark Hugh Made』が好きだった自分としてはむしろ嬉しかったりしたというね。ま、ぶっちゃけKramerがソロで発表したナンバーの多いセットだったんだが、Hopperらしい重くてデカくてメロディアスな演奏もけっこう楽しめた。一部、適当に弾いてるのか?という場面もあったりもしたのだけど。なお、この時のライブは日本でだけ『Still Alive in '95 (Live in Japan)』としてCD化されてもいる。
今、『A Remark Hugh Made』を聴きながら書いているんだけど、実に才気走ったKramerの多重演奏と低音部をブイブイと泳ぐように鳴らすHopperのベースが絶妙にブレンドされているわ。Robert Wyattがゲストで歌う1曲目からして鳥肌ものの美しさ。その後に続く楽曲もメロディがちゃんと頭に残るようなポップさを兼ね備えたミクスチャー・ミュージックばかりで、これもっと聴かれていいと思う。てか、Amazonだとプレミア付いてるんだね! 廃盤中かよー。Shimmy DiscってかSecond Shimmyはそろそろリマスター・プロジェクトでも立ち上げて再発してくれなきゃダメだな。本作、実はゲスト演奏も収録されているGary Windo(1992年没)に捧げられた作品でもあったりするのだが、Hopperを追悼するのに聴くことになってしまったというね……複雑な気持ちだ。

他にもSoftsの諸作だとかHatfield and The Northの元メンバーとかAlan Gowenなんかと絡んだ作品とか、もう数え切れないほど素晴らしい作品を残しているのでね。ソロでも『Hopper Tunity Box』みたいな傑作あるし。シアトル系ミュージックのキーパーソン、Fred Chalenorとの夢の共演が果たされたHughscoreなんてプロジェクト・バンドもはずせないし。オススメできない作品を探す方が大変なくらいなので、聴いたことない方はぜひこれを機に耳を傾けてみてはいかがかと。当の本人は今頃、Soft Heapの天国公演でツアーしてることでしょうなぁ。RIP。

| | Comments (0) | TrackBack (7)

June 05, 2009

切なくもいとおしくどこまでも逃げていく音楽『The Mind Boggles』

語るべきテーマはとっくに決まっていて、だけどそれをどう書けば伝わるのか悩みまくっていた。

今年に入ってからのオイラはというと、とにかく「書く」という行為から逃げまくっているのだ。理由は自分でもよくわからないのだけど。でも、ここに来て、もっと書かなきゃいけない気がしてきているんだ。どんなに逃げたって月までは行けないんだし。

The Mind Boggles

さて、Steve Goreの死によって事実上というか結果的にRascal Reportersの最終作となった『The Mind Boggles』である。これはもういつものRascal Reportersの延長線上にある音だし、全体にウキウキした空気間は流れているのだけど、どうにもいろいろなものから逃げまくっている音だなぁというのが一聴した感想だった。全12曲、バラエティにとんだ楽曲が並ぶが、各曲から感じられるのはどうにもいつも以上に引っ込んだような部分。気になったというか引っかかった。顕著なのは2曲目の表題曲。リズムから逃げ、メロディから逃げ、歌から逃げ、アンサンブルから逃げ、楽器演奏から逃げ、そのくせフリー・ミュージックからも逃げたような楽曲だ。それでいて断片の寄せ集めであることも拒み、エンタテインメントとしてしっかり成立させてもいる。何というあやういバランス。いろんな何かから逃げようとする本能的な自分と、それを俯瞰してまとめあげる冷静な自分がいるような。本当に大胆不敵な音の塊だ。めちゃくちゃ面白い。
他の曲も驚くほど密度が濃い。もったりした反復にさまざまな楽器によるチャーミングなフレーズが乗る「The Jazz Caspers」。まさにカンタベリー音楽の王道にして最新形といった感じの「The Orange Jews of Mourning」は約10分に及ぶボーカル・ナンバー。厚みのあるキーボード音の応酬がモヤモヤな「Therese and Isabelle」。これまたカンタ風味にめまぐるしく転調する小品「Scuttlegeiss」。基本はゲーム音楽ってかRPGのバックミュージックのような楽曲なのに、途中で「Moon River」のフレーズが登場したりいきなりダークなドラム・ソロになったりする「Tomorrow's Todays」。Godley & Cremeがレコメンに挑戦したような変てこポップスの「1971's Chocolately Anal Bar Mitzvah」。一転、シリアスなもろジャズなナンバー「Osterburg 1980」(個人的には一部のフレーズがABWHの「Brother of Mine」っぽく」聴こえてならんのだが)。うそざむいハミングが吹雪のような「Winter Sahlstice」。ダルなギターの爪弾きから一転して素朴なボーカル曲になったりする組曲風の「My Amish Heart」。あからさまにHenry Cowフォロワー感まる出しで終盤は5uu'sっぽくもある「For The Years 2002 and 2003 Which Were Lost To Me」。最後はドリーミーでキュートでくすぐったい音だったりする「Stewing in Rodentia」。1時間ちょっとというラン・タイムは、職場までの電車で聴くのにちょうど良く、それはもう何度となく聴き返した。これからも何度となく聴くことだろう。時代に愛される名盤ではないだろうけれど、見つけることができた人には大なり小なり爪あとを残すような作品じゃないかと思うんだ。グッサリ来ているからそう思ってるのかもしれないけどね。
あらためてSteve Goreという才能に敬意を表す。ありがとう。そしてさよなら。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

May 28, 2009

初めて自分で買ったLPレコードは『グイン・サーガ 辺境篇』だった

お前は誰か死なないと文章を書かないのかと誰かに突っ込まれそうなんだが、やはり書いておきたいのだよ。

我が家には『グイン・サーガ』が第1巻「豹頭の仮面」から第89巻「夢魔の王子」まで全巻揃いで置いてある。いま押入れから引っ張り出して確認したんだから間違いない。126巻まで刊行されているSF小説のなぜ途中までがあるのかと云えば理由は簡単。そこで挫折したのだ。『グイン・サーガ』は本当に面白い作品だった。中学生の時分には心の支えのひとつとなるほどの作品だった。絶対に100巻で完結するまで読み続けるんだぞ!っと当時の自分は心に誓っていたような気もする。『グイン・サーガ』専用の文庫サイズがキレイに収まる棚までうちにはあるんだ。かなり検討して買った棚だ。今ではKing CrimsonとかCDの整理棚のひとつになっているわけだが。そうそうグインのイラストが入ったラベル付きのワインなんてのも押入れのどこかにあるはずだ。完結したら飲もうと思って買っていたんだ。たぶん押入れの中なんで保存状態は最悪。もう飲むことはないかもしれんなぁ。『グイン・サーガ』からいろいろなことを学んだ。とにかく前半の……そうさなぁ23巻あたりまでは血沸き肉踊る。あとマリウスの恋愛譚は胸ときめいたもんだ。純粋で硬派だった学生時代を思い出すぜ……。

グインサーガ 辺境篇

実はオイラが初めて自分で買ったLPレコードは『グイン・サーガ 辺境篇』だった。CDじゃないよ。レコード。そういう時代だったんだね。淡海悟郎さんによるイメージアルバム。架空のサントラみたいなもんで、云っちゃえば雰囲気盛り上げ音楽なんだが、これがなかなかイメージアルバムってくらいで想像を膨らませてくれる出来でな。「砂漠の民~セムとラゴン~」なんてな一度聴いたら忘れられないインパクトの強さがある名演もあるし。思えばその後、プログレばかり聴くようになった一端はここにあったのかもしれんなぁ。プログレ好きになるのにもっとも大きな影響を与えられたのは「エルガイム」というアニメからなんだがね。何かもう文字通り中二病の頃の話なので、書いていても若干、顔がほてってくる感覚があるんだがね。ああ、暑い。

そんなわけでオイラは大人になるに連れ『グイン・サーガ』をあきらめ、いわゆるトマトとなり氏を温帯と呼ぶようになり、そして解脱してしまい、『グイン・サーガ』の方も100巻で完結どころかダラダラと126巻まで続き未完のまま幕を閉じてしまったわけだけど、作者である栗本薫氏には心から感謝の言葉を述べたい。ありがとう。『グイン・サーガ』これから読み直すッス! たぶん今なら割り切って126巻まで挫折せずに読めるような気がするんだ。読んでいない90巻以降が苦行とならないことを祈りつつ。RIP。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

April 22, 2009

追悼:Steve Gore Rascal Reporters Bio全訳

Row Meat(直訳で「生肉」……という名のSteve GoreとDavid Johnsonとの「ロック/ノイズ」グループ。60年代後期~70年初頭に活動)の燃えカスから、1974年にRascal Reportersは立ち上げられた。David Johnsonはハイスクール仲間であったSteve Kretzmerと交代。お互いに生活と音楽に対するよく似た趣向を持ち、作曲も演奏もでき、キーボードとドラムを演奏できた。この日から今日まで存続する完全な音楽ユニットはつくられたのだ。
2人のSteveは1958年生まれで、デトロイト郊外(イリノイ州オークパーク)で育った。2人とも左利き。1975~1976年の間に、グループは文字通り1日あたり1曲の歌を毎日書き、録音していた。リリースされていない音楽をまとめた12CDボックスセットは、これら2年の成果から多く選別されることだろう。どんな時でもどんな年でもどんなテープからでも、音楽の断片でさえ決して消さないことで有名なSteve Goreは、「RRkives」として知られる30年分の「底がない」テープの束の存在にに対して責任を負っていた。
1978年、「My Name / Ricky And His Dad」という45回転のピクチャースリーブ付きシングルで、「公表する」という最初の試みが行わるはずだった。リリースは資金提供不足のためにキャンセルされ、『Rascalities 1974-1999』という12CDボックスセットに収録される予定だが、さらに議論されているところだ。
「一般の露出」は1980年についにやって来た。カリフォルニアに拠点を置くEurockのArchie PattersonはRascal Reportersのフルレングス・カセットアルバム『Freaks Obscure』(曖昧なフリークス)をリリースした。これは「カセットでのグループによるセルフ・プロデュース・アルバム」という比較的新しい時代を歩み始めたEurockの最初期のリリースのうちの1つだった。すぐに追うような形で『We're God』(我ら神)が、Eurockカセットとして1980年にリリースされた。これら2作品のリリースは、小規模にではあるが、バンドを追い求める世界中の熱狂的ファンを確立することにつながった。人々は急速に、70年代後半の英国のプログレッシブ・ロック運動に明らかに根ざしているが、この奇妙で、奇怪で、時に猥褻(『Freaks Obscure』)なRascal Reportersの音楽をもっと聴きたいという欲求に駆られ始めた。グループは、1981年の45回転シングルと、1984年のFred FrithやTim Hodgkinsonをゲストに迎え(これは1978年にHenry Cowが解散して以来、彼らの初顔合わせとなった)、後にランドマークとなるLP『Ridin' On A Bummer』(怠け者に乗る)を発表して、その欲求に応えた。Rascal Reportersの人気はこのリリースによって一気に火がついた。
Rascal Reportersの遺産は、マスターワークとなるLP『Happy Accidents』(幸福なアクシデント)の発表により、1988年に永久に固められたと言える。彼らが愛する、そして影響を受けたミュージシャンたちが、急速に彼らの友人になり始めた。本作にはそうした誇るべきゲストが参加している。ベルギーのUnivers ZeroからGuy Segers。ニューヨークのDoctor NerveのNick Didkovsky。ほとんど第3のメンバーとして後の仕事にも幾度となく貢献することとなるThe MuffinsのDave Newhouse。本作でミュージシャンとしての最後の仕事(ギター)をこなしたキュニフォーム・レコードとWAYSIDEメールオーダー・カンパニーのCEOであるSteven Feigenbaum。5uu'sとU-TotemのメンバーであるDavid Kerman。そして、ここでリストすべき数多くのCDのゲストのドラマーであり、U-Totemの主な作曲を手がけるJames Grigsby。ベース演奏の名人にしてSteve Kretzmerの兄、20年にわたり陰日向となって第3のメンバーであり続けたPaul Kretzmer。『Happy Accidents』は飛ぶように売れ、オーディエンスの期待も高まっていった。この時点まで、すべての音楽はグループが所有するレーベル「Hebbardesque」にてリリースされた。
2人のSteveはどちらも音楽を感覚でとらえ、「(譜面で)読んだり書いたり」ができなかった。音楽はすべて、耳と「機械的な反復」の訓練によって作曲されている。両ミュージシャンがキーボードとドラム(ドラム演奏の比重の高いのはGore、キーボード演奏の比重の高いのはKretzmer)を演奏し、作曲するのは、奇妙な偶然の一致である。グループのもうひとつ特に変わった手法は、大部分の音楽は完全に作曲されたもので、いつでも2人のメンバーのうちの1人だけによって演奏されているというこの事実だ。基本的に、ふたつの「ワンマン・バンド」が共に仕事をし、異なる個性をもった2人のミュージシャンが構成するユニークな「4人組バンド」を形成していながら、賞賛される作曲スタイルになる……。ゲストを招いて彼らとレコーディングするのは困難であろう。音楽はとても複雑であって、ゲストはRascal Reportersの「書き」上げ方を知らずに、その音楽に「到達する」ことを必要とされている。最善のシナリオは、楽譜を読めて、さらに「耳」で判断して演奏できるゲスト・ミュージシャンを含むことだ。
1,200曲以上の完成したRascal Reportersの楽曲が「RRkives」テープにはあると推測されている。それらが絶え間なく続く音楽の発展というコンセプトに捧げられるのであれば、グループが決してするべきことでない何かしら、アーカイブのリリースを厳密に依頼し、バンドの引退を許可することだろう。Rascal Reportersのユニークな特徴は、それらがほとんどすべての音楽ジャンルで構成されていることにある。プログレッシブ、ポップ、クリスチャン・ポップ、ジャズ、キャバレー、テクノ/ダンス、ロック等。彼らは、あなたが彼らにそうであることを望むのと同じくらい単純であるか、あなたが彼らを好きだったのと同じくらい複雑なものだ。
記録として、Rascal Reportersに音楽的影響を及ぼした主なものは以下の通り。
The Beatles、Frank Zappa、Gentle Giant、Egg、Hatfield and the North(と、その分派)、Henry Cow、Soft Machine、The Residents、Gryphon、The Enid、Stackridge、Univers Zero、Art Zoyd、Tipographica、The Muffins、Burt Bacharach、Bela Bartok、The Archies、PFM、Van Dyke Parks、Brian Wilson、Judy Collins、U-Totem、Bread、The Regeneration、Herman Szobel、Krzysztof Komeda、Genesis、Magma等。

Steve Gore

彼らの公式サイトからの全訳である。Rascal Reportersの特殊性が何となく見て取っていただけるんじゃないかと思う。
Steve Goreは2009年3月14日、地下室での作業中に何らかのアクシデントによって事故死したということのようだ。享年51歳。死の4日前のブログには、配信のみという形でリリースされた最新アルバム『The Mind Boggles』を大幅に変更し、CDとして発売する予定があることを意気揚々と書き込んである。あまりにも唐突に別れの日が来てしまった感じだ。ということで、次回こそ『The Mind Boggles』感想文。それまで皆さんは彼らのもうひとつの公式サイトで代表曲やレア音源を試聴して、追悼してみてほしい。気に入ったら、CDを購入したり、サイトにあるドネーションとかに協力したらいいんじゃないかと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

April 13, 2009

ああ、行って来たさAB℃

ということで、土曜は℃-uteライブに初参戦してきた。
「AB℃」と題された本ツアー初日、松戸森のホール21夜の部。文字通り待望のコンサートだったわけだが、いろいろな意味でスゴカッタ。

ABC

昨年はフラ~ッとBerryz工房のライブに足を運んだりして、今時のハロプロ系コンサートの客席がどういう雰囲気かは感じ取れていた。しかしだな、「℃ヲタは特にタチが悪い」なんて囁きを聞いちゃったりしていたものだからちょっとけっこう不安だったんだ。で、会場で席に着いたら目の前に「高輝度サイ持ったチッサー犬」がいたものだから、これはヤバイかもしれない……みたいな気分に。あ、「高輝度サイ持ったチッサー犬」ってのは平たく云うと「普通のより強く発光するサイリウムを持った、℃-uteのメンバー・岡井千聖がいくつかの番組で扮している犬のコスプレと同じものを着たヲタ」のことな。いや一般に落とし込むって苦労する作業だなぁ。しかし、ライブが始まってみると彼はむしろ節度あるファンといった感じでかえって好感を持つほどの存在であった。問題は左隣のピンクなTシャツの太っちょ。ちなみに会場はメンバー・カラーのTシャツ着ている人が多いのね。ピンクは矢島さん。これと黄緑の鈴木さんのファンが明らかに多い。で、ピンキーな左の席の人は、矢島さんと同化したい願望でもあるのか、ほぼ完璧に同じダンスをするのよ。無言で。いや無言はむしろ良いのだけど、このダンスのキレが半端ないものだから、オイラの席までフリに合わせて振った拳やらヒザやら汗やらが飛んでくるのよ。何度小声で「怖いよ~」とつぶやいてしまったことか。しかし、あんまり意識していなかったけど、舞台上ではここまで激しい動きになってるんだなぁとリアルに体感できたという点は評価できる。その点だけはな。ぶっちゃけ一発でも痛いのが当たったら胸倉つかんでニッコリしてやろうかという準備はあったんだよね。

さて、本題に移ると、このライブ、ものごっつい良い出来だった。有原さんの穴を全員でフォローして不在をむしろレアな公演という形でまとめあげ、完成度はかなり高い。最新アルバム『4 憧れ My STAR』+発売前のシングル「Bye Bye Bye!」からの2曲を中心に据え、あっという間の約100分といった感じでな。セットリストは調べりゃコアなファンのブログとかでわかるだろうし、これから観る人のために明かさないという発想もあるので、書きませんがね、実に練り上げられたものになっていたんじゃないかと。初ライブ観戦の高揚感差っぴいても良い出来だったんじゃないかとね。ちなみに幕前には「ABC」にちなんだ曲ばかりを流してたなぁ。最後はそのまんまJackson 5の「ABC」だったりしたのでちょっとけっこうニンマリしたよ。個人的にはその「ちょっとけっこう」という台詞の入る「愛してる 愛してる」という中島さんと有原さんのデュオでアルバムに収録されている楽曲を有原さんの代役で岡井さんが歌ってくれてたいへん良かった。昼は萩原さんが歌ったらしく、毎回違うメンバーで歌う形となっているようだが、岡井は本当にキュートな歌い回しで素晴らしかったぜ。これ、有原さんが復活して歌ったら物凄い盛り上がりになるんだろうなぁということまで想像させられたもんだ。歌は初日ということもあってか初披露曲に関しては完璧とは行かない部分も垣間見られたけど、気持ちを声に乗せようという意識はしっかり伝わってきた。毎回やってる小芝居パートは、『℃-uteの日』のDVDとかと比べたらちょっとけっこう落ちるかなという出来だったけど、そこはそれそこそこ楽しめたしな。全体に見どころたっぷりであった。それにつけても梅田さんと中島さんはいつヴァージョンアップしたんすか? 何か美しかったなぁ。えーと、中野あたりでもう1回観られたらいいなぁと思う。
あ、でも思い入れの強い人には後半のアレンジはキツイかもしれないかな。「僕らの輝き」で岡井さんの出番がないのは大胆過ぎるわな。とてもーだーいたーん。オイラは「あえてのレア・ヴァージョン」と受け止めましたがね。

そんなわけで重いRascal Reportersの前に軽いのやっときましたよハイ……。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

«だって4thアルバム聴いたらそう思ったんだもん