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2004/06/13

窪塚とIWGPとマコトと現代音楽

窪塚洋介のフライング事件について、うちの相方が日々状況を伝えてくれているのと、たまたま石田衣良さんがNHK教育の番組に出演されてたのを観たという理由で、『池袋ウエストゲートパーク』(通称、IWGP)を読みたくなった。ちなみにTBSのドラマの方はほとんどちゃんと観たことがない。

ところがちょっとした理由で『少年計数機 池袋ウエストゲートパークII』を先に買ってしまった。短編集なんだから順番なんか気にしてられるかいッ!と読んでみた。これが面白かったんだ。

物語は主人公のマコトの一人称で語られていく。こいつ、粘着ストーカー男をシェイクスピアの『あらし(テンペスト)』からプロスペローに飼われている怪物・キャリバンと名づけてみたり、自宅で現代音楽を聴いたりしやがる。「いい趣味してるじゃねぇか」とついニヤリとさせられる。描かれているのは池袋をホームグラウンドにする青少年たちのちょっと普通じゃない普通の日常。もちろん、数多くの登場人物たちが生き生きとしっかりしたディテールまで描かれているのも魅力のひとつだ。だけど、オイラにヒットしたのはマコトを通じて作者本人が考えていることをつらつら書いているとしか思えないアイロニーどっぷりな視点の妙だ。明らかにマコトは年齢とは裏腹に若い世代の代表ではない。こんな奴いるもんか。でも、いてほしい、いたらいいな、いたら捨てたもんじゃないな、と30過ぎのオイラにも感じさせてくれる。だからこの本、リアルな世界を描いているのだけど、何となくファンタジーを読むようなワクワクした気持ちになってしまった。良い買い物をしたと思う。100円で買っちゃったのがかえって作者に申し訳ないようだ。あえてネタバレを避けたので、ピンと来た方は読んでみてはいかがか。

さて、これで終わったら音楽サイトの名が廃る。「妖精の庭」「少年計数機」の2編でマコトが聴いていた現代音楽を紹介しておく。どちらも好きな作曲家の作品だが、どちらの作品も残念ながら完全には聴いていない。

武満徹 「精霊の庭」(『ジェモー』収録)
ま、武満については「演劇×音楽」エッセイでも採り上げているわけだがな。代表作はやはり「ノヴェンバー・ステップス」になるだろう。映画音楽もさんざん手がけているが。想像するにこの「精霊の庭」にヒントを得て物語を1本作っちゃったということだろう。1050円だ。オイラは買うさ。

スティーヴ・ライヒ 「十八人の音楽家のための音楽」
上のリンク先はおそらく最もポピュラーなECM盤。ワーナーから出てる別演奏の日本盤もある。うちにある『Exclusive Selection(邦題・ライヒ:ベスト)』に一部収録されている。いわゆるミニマル・ミュージック。これをフルで7回繰り返して聴くってのは、精神が落ち着くというより頭がこんがらがるだけなんじゃないか? でも、アヴリル・ラヴィーンとかばっかり聴いてる人には、この際こういう音楽を聴いて世界観を変えてほしいとも思う。いや、この『池袋ウエストゲートパーク』にはまさにそういう作者の意図がぶち込まれているのだ。ドラマに触発されて真面目にこの本を読んだ子たちから、マコトのような愛すべき変人が生まれたら本当に捨てたもんじゃない。

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