« TFF 『ELAHE』全曲レビュー その2「Closest Thing To Heaven」 | トップページ | TFF 『ELAHE』全曲レビュー その4「Size Of Sorrow」 »

2004/09/18

TFF 『ELAHE』全曲レビュー その3「Call Me Mellow」

Tears For Fearsの新作『Everybody Loves A Happy Ending』やっと発売! で、記念全曲レビューの第3回でやんす。
うちの最寄の繁華街・大宮駅周辺のCD店はWAVEもNACK5タウンも未入荷だったよ。それはつまり埼玉県で扱ってる店舗ゼロを意味してたりするのか? 川越とか所沢はわからんが。浦和のDISK UNIONもあるかもしれんが。店頭で見かけたという情報は今のところHMVくらいだ。各店舗さん、HMVひとり勝ちになる前に入荷しとけっちゅう話だ。まだ遅くない。ま、Amazonも24時間で送ると云うてるので、そっちで買うのもオススメ。ただ、何か抱き合わせないと送料無料になる1500円に達しないので配送料が別でかかる。ウマイ。これが商売っちゅうもんでしょう!
ちなみに何度か彩音でも採り上げたThe Blue Nileの『High』が、何と29%オフになってるので、国内盤にこだわらない方には抱き合わせ大推薦。

3曲目「Call Me Mellow」
これが『ELAHE』の公式な第1弾シングル。ところがシングルCDでの発売についてはアナウンスなし。現時点では米国のダウンロード・サイトのみで発表されているシングルという扱いになっている。csz.comに書かれている表現からすると、CD化がありそうにも取れるのだけど……どうかな。一応、1曲入りサンプラーは出回っている。そして2回目のラジオ・プロモーション・アコースティック・ツアー以降、ほとんど必ずといっていいくらい演奏されていたりもする。ま、実は一連の2004年ライブって「Call Me Mellow」までの冒頭からの3曲を中心に演奏されているので、今回の紹介分までの曲はすでに耳にしている人も多いハズ。この3曲に共通しているのは、誰も(というか80年代からのファンたち)がイメージするTFFらしさと、王道ポップスとしての魅力と云えるんじゃないかしら。
さて、「Call Me Mellow」。前2曲との大きな違いはシンプルさ。非常に単純なつくりの爽やかポップスなのだ。そう、云わば「Everybody Wants To Rule The world」的なのだ。比べればテンポは早いし、キーボードではなくギターがベースの曲になっているし、メイン・ボーカルはローランドなんだけど。あ、TFFなんてあんまり知らないけど「ルール・ザ・ワールド」は聴いたことあるって人に云いたい。この曲はTFFのナンバーとしては異色なの。異端と云ってもいいくらい。2nd『Songs From The Big Chair』収録曲の中でも、この曲だけが浮いてる感じがある。その後の音楽性を方向付けたヒット曲でありながら、その後も似た傾向の曲はまったくないとオイラは思ってるんだ。異論はあるだろうけどさ。で、骨格の部分で初めて似た曲が出てきたなぁと思った次第。
モコモコしたキーボード音に非常に単純なコードのギターが被さり、「愛で空を満たしてください」のコーラスと共にすぐに歌が始まる。寓話のような世界というか、哲学的な話というか、何だかよくわからない歌詞がいかにもTFFらしいのだが、たぶん内気君とお転婆ちゃんの歌なんだろね。バラバラな2人を描写した後、「で、彼女はどう思ってるんだろ?」みたいな展開で、裏声で歌うサビ。「だけど、そのとき彼女はそれが呪いみたいなモノだって知るんだ。ボクらの選ばれた役割がアベコベだって理解するために。ボクの宇宙を統一するために。ボクを『まろやかさん』と呼ぶために」。何だよ「まろやかさん」って。いや「mellow」をどう訳すかな。「芳醇」ちゅうことから意訳で「早熟」みたいなことかとは思うのだが。
とにかく楽しい雰囲気のまんまラストまで一気に駆けて行く約3分半。あれ? 「Closest Thing To Heaven」もほとんど同じ分数じゃん。あの濃密な世界が約3分半てのも凄いが、この清々しくシュダッと歌い切る約3分半も凄いわけよ。

個人的にはこの怒涛の冒頭3曲の出来に、ふとGenesisの『Duke』を思い出したよ。「Behind The Lines」「Duchess」「Guide Vocal」という3連発にはノックアウトされたもんだ。プログレかどうかなど関係ない。毛足の揃った絨毯のようなキーボードのトニー・バンクスと、とにかくポップスのツボ師のその他2名が紡ぎ出してしまった名作なのさ。TFFと似ちゃあいないが、英国ポップスが見事に昇華されたひとつの形としては共通する部分もなきにしもあらずだ。

おまけのTFF情報

『ELAHE』発売前日(9・13)、KTLAモーニング・ニュース出演時の映像がKTLA公式で観られるようになった。リンク先の「CHANNELS」の「MUSIC」を叩くとたどり着くはず。なぜか演奏しているのは新作からでなく「Everybody Wants To Rule The World」。映像も音もかなり悪いので覚悟してほしい。ま、初めてキーボードのダグ・ペティの姿を確認できたので良しとしよう。

|

« TFF 『ELAHE』全曲レビュー その2「Closest Thing To Heaven」 | トップページ | TFF 『ELAHE』全曲レビュー その4「Size Of Sorrow」 »

コメント

たしかに、今回は、ローランドがいい形でカートに歩み寄ってますよね。質問なんですが、Charlton Pettus ってどういう人なんですか?

たしかにルール・ザ・ワールドの位置付けって難しいですよねぇ。
アドヴァイス・フォー・ザ・ヤング・・に継承されていったという理解もあるでしょうけどね。僕は4曲目もローランドの作曲っていうのがちょっと意外でした。一聴しただけでは、カート的でもありますよね。

この曲も、ほんと歌詞が謎ですよね・・。おそらくSHIROさんの解釈が正しいと思いますが、神話的な内容としても読めますね・・。月に吼える女って誰だ・・。

ジェネシスのDUKE!いいですよねぇ。その次のアバカブもけっこういいと思います。

そして、上原多香子ちゃんのHPはじめて見ました。たしかにあの日記はインチキくさいですね。。。(苦笑)ちなみに、日記の中で引用されている今年の直木賞受賞の奥田さんは、僕の高校の先輩でございます。僕の高校が輩出した唯一の文人だと思います(あんまり作家が誕生しそうな雰囲気の高校じゃなかったしなぁ)。

投稿: さしみ | 2004/09/18 20:41

ごめんなさーい。僕が購入したのはHMVじゃなくて、京都のタワーレコードでした。10枚くらいドサッと置いてありましたよ。

投稿: さしみ | 2004/09/18 22:58

「怒涛の3曲」、まさにその通りだと思います。
僕は他のアーティストとかと比べてとかはキャパがせまいので
できませんので純粋にTFFが好きとしか言えません。

しかしこの「怒涛の3曲」だけで終わってないところに
TFFのすごさがありますね。
4曲目以降のレビューも楽しみです。

今回のアルバムは本当に驚きの連続でした。
今までのTFFにはない曲調があって、
それはとても幻想的なものでとても衝撃的でした。
いかにもTFF的なポップな曲もあるし、
やっぱりTFFはローランドとカートの2人じゃなきゃと思いました。
もちろんローランドだけでも好きですが、
やはりカートの声と音楽センスが入ることにより
よりTFFらしい音楽になるんですよね。

僕は皆さん達と違って英語には強くないので
翻訳サイトで歌詞を全部訳したのですが
やはり変な訳になってしまいます。
なんかいい翻訳方法ありませんか?

投稿: ニキタ | 2004/09/20 18:55

さしみさま
Charlton PettusはカートのバンドMAYFIELDのメンバーだった方ですね。アルバム『Mayfield』のジャケで娘さんを抱っこしてる人がそう。で、ぬぁ、ぬぁんとヒラリー・ダフのプロデューサーだったりもします。うーん、質問が的確すぎて後にとっておいた情報が次々剥かれていくなぁぁぁぁ。
うーん、「Advice For The Young At Heart」には「EWTRTW」の能天気な空気はないですよね。いきなりサビがドーンですし。
歌詞はホントに謎だらけ。単語自体は決して難しいものを使っているわけじゃないのにね。
彩音は雑多なジャンルを取り扱っていて、普通ならそれとそれは聴かないだろ?というものがかなり登場しているのですが、それを毛嫌いせずに楽しんでいただくのが一番嬉しいのです。だから、さしみちゃんが上原多香子をチェックしてくれるなんていうのは最高に嬉しいのです。奥田英朗さんは未読なのですが、これは読まなくては。みたいに自分に帰ってくる情報も楽しいわけです。
タワーの件はまぁ、オイラも現場チェックをほとんどできてないもんで、失礼しましたというしか。

ニキタさま
驚きの連続ですよね。TFFとしての必然性にうなづかされるばかりでなく、ローランド・ソロ、カート・ソロの現時点での集大成というか総決算みたいな内容なんだもの。逆にあんまりTFFを聴いてない人の冷めた意見も聞いてみたいもんなんですがね。

翻訳はね、オイラも英語には詳しくないのですが、深く考えないことが大事かと。海外生活の長いさしみちゃんからして「謎」云うてるんですから、オイラなんかお手上げっす。テキトーっす。いやさ、和訳も英訳も真面目にとらえてたらやってられるもんかい! とRed Masque騒動の時に痛感したよ。ニュアンスとか云い出したらキリがないんだから。

投稿: SHIRO | 2004/09/21 00:36

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/28861/1461000

この記事へのトラックバック一覧です: TFF 『ELAHE』全曲レビュー その3「Call Me Mellow」:

« TFF 『ELAHE』全曲レビュー その2「Closest Thing To Heaven」 | トップページ | TFF 『ELAHE』全曲レビュー その4「Size Of Sorrow」 »