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2006/07/29

Matt Chamberlain's "Matt Chamberlain"

Matt Chamberlain

予告してから何ヶ月経ってるんだと。Matt Chamberlainの『Matt Chamberlain』を誉めちぎる会ちがった回。New Bohemians以降の彼の足跡についてはWikipedia(英語)でも見ておけばだいたい。写真付き(凛々しい!)で経歴等々がわかろうて。デビューの印象からかTori AmosFiona Appleといった女性ボーカリストの活動を支えていく傍ら、Wallflowersに始まりRobbie WilliamsMorrisseyにまで至る数多のミュージシャンにその腕を買われていく。

さて、自らのバンドであるCritters Buggin'の音楽性や、様々な音楽家との交流から想像つく通り、彼自身の初ソロ作も非常に雑多な内容である。粗いということではない。むしろ音はソフィスティケートされすぎているくらいに聴きやすく、それでいて主張が届くようなものになっている。公式HPでも収録曲の一部がちょっとずつ聴けるので、何となくの雰囲気は掴んでもらえるかもしれないが、とにかくバラエティに富んでいるので、全曲紹介するしかない。

1. Cheeky
衝撃的なオープニングだ。平手打ちを食らわすようなドラムにピコピコピコピコと電子音が乗り、重い弦楽器がズオーンと響いてきたかと思うと中近東風の軽い弦楽器がパラリンと出てくる。激しさと共にめまぐるしくも身体に訴えかけるグルーヴ感がみなぎった作品。例えて云うなら90年代以降のKing Crimsonからフリップとブリューのギターを抜いて、おもくそカッチョイー楽曲を無理繰り捻り出したような内容だ。実はその「重い弦楽器」こそTrey Gunnのウォー・ギターだったりもする。正直、この1曲のために本作を購入しても十分満足だと思っている。「Cheeky」とは「(感心できないが)ちょっとおもしろい」という意味。自嘲気味なタイトルにニヒリズムを感じてニンマリだ。
2. Monday
君はThis Heatを聴いたことがあるか? オイラはもうボックス・セットも堪能した。そのThis Heatの大名曲「Fall of Saigon」を思わせる重厚な曲。インストだし、弦楽器が軽い音なのだが、楽曲そのものに潜む陰鬱な空気は隠すべくもない。ゆっくりと夕暮れに表情を変えていく暗い森を呆けて眺めているような気分になる。
3. Eel
君はCraig Armstrongを聴いたことがあるか? 彩音ファンなら聴いているよなッ! 冒頭はあの感じ。まるであのもわっとしたキーボード音。そこにドラムがゆったりと寄り添うように刻まれ、ギターがベロンベロンと乗っかる。何かに似てると思ってたんだが、いま思い出した。Billy Currie with Steve Howeの『Transportation』だ。あのムーディーな感じを少々ダークにしたらこの曲に近い。以下、数曲は似た空気が漂っている。
4. Abstretch
ガムランっぽい打ち込みの軽いリズムに、これまたダークな雰囲気のベース&キーボード。ハードボイルドなイメージの中で、眩暈を起こしそうなシンバルの響きがやけに耳に残る。
5. Tsunami
「津波」なわけだが、当然サザンオールスターズなわけもなく、これも静かな曲調が少しずつサビに向かって劇的に盛り上がっていく佳曲。この曲は深い。とにかく美しい楽曲だからだ。津波というと被災者のことを考えがちだが、自然現象として大波が大地を包み込んでいく姿はただただ悠然としたものだったりするのだから。ただ、この曲もエンディングではギターの爪弾きでその後の被害を暗示させる。
6. Haaa!
「ハアア!」って凄いタイトルだな。曲も荒波のよう。むしろ普通ならこっちが津波かと思うくらいだ。ドンドコドンドコいうとるね。曲調そのものはスローなんだけど、重たい重たいリズムが重たい。最後はティンパニまで出る。
7. Cagey
民族楽器としての太鼓を意識して作られたような作品。陰鬱な曲調でキーボードもウネーーーいうてる。リズムそのものは軽いのに暗い。
8. Pole Glitch
アルバム全体にもポスト・ロックな感じは多々あるのだけど、特に音響がそれっぽいのがこの曲。決して目新しいことや珍しいことをやっていないドラミングなのに、組み合わせと響かせ方で新しさが際立っている。
9. Moomoo
エレクトロニカーな1曲。琴を思わせるジャパネスクなキーボードに、お前はPink Floydかってくらいギュイーンと泣くギターが乗ったり乗らなかったり。こういうのが21世紀のプログレだよなーと思う。
10. Give Me Some Water
派手なドラムでスタートするこの曲のみボーカルが入る。と云っても何者なのかクレジットに書かれていないんだ。中近東歌謡の女性ボーカルみたいなのだが、高音の男性のようでもある。言語もオイラの耳では特定できない。YMOが今年デビューしたインド出身のポウさん、ルーさん、ユグフルさんによるバンドだったらこんな音かもしれない。

全10曲。約45分。もう最後まで何だか訳のわからん比喩のオンパレードだが、どこかしらがフックになってちょっとでも聴いてみようかなと思ってもらえればこれ幸い。Sleepytime Gorilla Museum以外に知ってるアーティストを扱っていないMimicryという弱小レーベルから出ているので、プレス枚数も少ないことだろう。ブックレットもペラ紙1枚だぜ。まだの人は早よ買っとこ。で、フリップさんとかの話は……次回につづく

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