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2007/06/09

オンド・マルトノ演奏曲集にLindsay Cooper

オンド・マルトノ(Ondes Martenot)という楽器がある。つい最近まで知らなかった。なにきっかけはデイリーポータルZだよ。ウィキペディアには楽器についての詳しい構造とか歴史とかが載っているので参照すると何となくどんな楽器か想像がつくかもしれない。音で表現すると基本はオルガンみたいなもんなんだけど、「ヒョー」とか「ピュー」とか「ピョロピョロ」いうのがさらにヨタヨタしたような感じだ。

Ondes Martenot

このオンド・マルトノの演奏家(オンディストというらしい)にして作曲家にThomas Blochという人がいて、廉価盤でおなじみのNaxosレーベルから、その名もズバリな『Ondes Martenot』という演奏曲集が出ている。聴いてみようと思ったのは、楽器への興味もさることながら、1曲のみLindsay Cooper(ex- Henry Cow)が作曲・演奏で参加してるというところに釣られた部分が強かったのね。で、聴いてみたら全体的にかなり面白かったので紹介してみようかなと。安いし。

Thomas Bloch(トマ・ブロシュ)は1962年生まれのフランスを拠点に活動しているレア・インストルメンツ奏者にして作曲家だそうだ(公式サイトより)。オンド・マルトノの他にGlassharmonica(アルモニカとか、まんまグラスハーモニカと呼ばれているらしい)やCristal Baschet(クリスタル・バシェット? 読み方わからん楽器はこんなん)を弾くそうな。本作は2004年に発表されている。収録曲は以下の通り。

1.「Feuillet inedit n'4」 Oliver Messaien
(メシアン: 未刊のページ 第4)
2.「Formule」 Thomas Bloch
(ブロシュ: フォーミュル)*
3-5.「Kyriades」 Bernard Wisson
(ウィッソン: Kyriade*~Kyriade I/同~Kyriade II(抜粋)/同~Kyriade IV)
6.「Mare Teno」 Michel Redolfi
(レドルフィ: Mare Teno)*
7.「Lude 9.6」 Thomas Bloch
(ブロシュ: Lude 9.6)*
8.「Nightmare」 Lindsay Cooper
(L.クーパー: 悪夢)
9.「Fantaisie」 Bohuslav Martinu
(マルティヌー: 幻想曲)
10.「Euplotes 2」 Olivier Touchard / Thomas Bloch
(トゥシャール/ブロシュ: ユープロテス)
11-13.「Space Forest Bound」 Etienne Rolin
(ロリン: スペース・フォレスト・バウンド)*
14-16.「Sweet Suite」 Thomas Bloch
(ブロシュ: スウィート組曲 [管弦楽編曲: H.ブージス&T.ブロシュ])*
* 世界初録音
※邦題はナクソス公式より引用

1曲目はオンド・マルトノを使用したもっとも有名な曲「トゥランガリーラ交響曲」の作者・メシアンの小品。ピアノとのデュオでシリアスめの作風。2曲目はオンド・マルトノのみのソロ演奏だが、「ああ、電子楽器だなァ」というパーカッシブで重く速い演奏。ドイツの電子音楽の人たちの世界のようだ。オーケストラとの共演でめまぐるしく曲調が変わっていく3-5曲目、ちょっとRobert Frippのサウンドスケイプを思わせる弾き方が印象的な6曲目、軽やかでミニマルで楽しい小品の7曲目と続き、8曲目がCooperの作品。垂れ込める重い空気の中でPhil Mintonが朗々と暗い内容を歌い上げる。元々は1994年発表のオムニバス盤『Saraevo Suite』に収録されていたものと同内容のようだ(そっちではLindsay Cooper/Phil Minton名義になっている模様)。冒頭、Michael Nymanの初期の作品みたいでよっぽどカンタベリーな感じがする9曲目は、ピアノ、オーボエ、弦楽四重奏などを交えてのクラシカルな演奏で約15分。まるでTangerine Dream meets Ondes Martenotといった趣の10曲目、尺八みたいなサックスと絡むオリエンタルな11-13曲目(一部Tom Coraらによるプロジェクト作『The Hat Shoes』を思い出させられた)、オンド・マルトノ9台で奏でるメロウかつドリーミーな14-16曲目……。メチャクチャといってもいいくらいバラエティに富んだ作品集となっており実に楽しい。ところどころカンタベリー・ミュージックにも通じる部分があるのでさらに美味しい内容といえよう。オススメ盤だ。

■Thomas Blochの他の作品 (ピックアップ)
Messiaen: Turangalila Symphony / L'ascension』 トゥランガリーラもやっていた
Music for Glass Harmonica』 アルモニカの演奏曲集も出ている
Sopraniste』 Patrick Husson 作曲・演奏で参加
The Tango Lesson』 Sally Potter カンタベリー・シーンから映画監督として最も有名になっちまったサリー・ポッターの出世作のサントラ。ここにも参加してたのね。Cooperとのつながりも納得(サリーは『Oh Moscow』などに参加している)。

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