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2008/02/05

まさに時代の徒花 Nightcatの話

古くからの友人にロヒキア君という部屋ん中アメコミだらけという人物がいるのだが、彼が作っている同人誌に「アメコム秘宝」というのがございましてね。その最新号「パニッシャーと呼ばれた女 忘れられたヒロインたち」でNightcatと名づけられた女性歌手なのにアメコミの主人公というキャラクターを知って、たいへん興味を持った次第。何しろインターネッツで調べても情報がないことないこと。仕方ないから八方手を尽くしてこのNightcatさんのCDを入手することに成功した。いやなにamazon.comで$0.01だったんだがな(あ、もちろんマーケットプレイスでな)。そこで今回は本作について「アメコム秘宝」を補足する形で、主に音楽的な側面から追いかけてみようかと。いつもに輪をかけてストライクゾーンが狭いが気にせん。

基本知識は「アメコム秘宝」読めば一発なのだけど、どこで売っているかわからん(コメント欄でロヒキア君本人がフォローしてくれるのを待とう)ので、「Nightcat」要約。
90年代も始まらんとする頃。当時のアメコミ界の一流スタッフが手がけた「Nightcat」という作品があった。歌手志望の女子大生が、トラブルに巻き込まれてスーパー・ヒロインとして覚醒して悪に立ち向かうといった物語。どうやらメディアミックスで主人公と同名の歌手をデビューさせる気だったらしい。が、その1冊といくつかの予告的なもの以外に「Nightcat」が再び登場することはなかった。つまりコケた。だが、CDは残った。

Nightcat

Nightcat』 Nightcat
Produced by Jeff Franzel, Warren Allen Brooks and Ken Cedar
Executive Producer Herb Moelis
Vocals by Jacqueline Tavarez and Nikki Gregoroff
1.#1 House Rule 2.Let Me Be Your Only Girl 3.If You Love Me 4.I've Finally Found Someone 5.Don't Change 6.Say You'll Be Mine 7.In The Night Time 8.Your Love Is All I Need 9.Hang On To Your Loving
基本データもネット上にちっとも見つからなかったので載せておいた。本作はBMG傘下のLeFrak-Moelis Recordsから1991年に発表されているCD(「アメコム秘宝」ではRCAとなっていたが、RCAは製造と流通ね)。制作そのものは1990年にニューヨークのスタジオで行われたようだ。「マドンナ風」というロヒキア君の感想もむべなるかなという打ち込み系ポップス9連発。確かにいま振り返るとむしろ80年代風の音だから当時でも古臭かったんじゃないかと思いがちだが、調べてみるとそうでもないのかな?という感じもあったのだよ。
主役のJacqueline Tavarezこそ、どんな出自の方かわからなかったのだが、他は判明したぞよ。Jeff Franzelは中堅プロデューサー兼作曲家といった感じ。Deborah Coxのミュージック・ディレクターを担当した方らしい。他に手掛けた作品は、ディズニー映画『アラジン』でジャスミンの歌声を担当したLea Salongaの『Lea Salonga』など。注目されるほど大きな仕事はしていないが堅実に仕事をこなすタイプなのかな。元はジャズ・ピアニストということだが、その片鱗は本作でまったく感じられない。Warren Allen BrooksはStevie Bの大ヒット曲「Because I Love You」の作曲家じゃないのさ。この曲は1991年12月に全米ナンバーワンだったそうで、つまりNightcatのすぐ後のことみたい。いやーNightcatに歌わせていたらどんな結果になっていたのだろうか。Brooksさんは本作で6曲作曲していて、うち5曲ではバックの音をほとんど全部自分で演奏している。てなこともあって、『Groove Ya』というアルバムを1枚自分名義で出しているようだ。Ken Cedarさんも中堅クリエイターという風情だが、1曲目あたりではなかなか良い仕事をしているよ。ちなみに彼の公式サイトで試聴できるぜ。Herb Moelisは件のStevie BからIke & Tina Turnerまで黒人アーティストの諸作を中心にエグゼクティヴ・プロデューサーとして名を連ねている人らしい。「LeFrak-Moelis」というレーベル名からしてレコード会社のお偉いさんといったところか。Nikki Gregoroffさんは女性セッション・ヴォーカリスト。Britney Spearsのバックでも歌っていると知って本作との因果を感じてしまったわい。他にはJewel、Joe Jackson、Simply Red、Celine Dion、Patti Austinといった皆さんのアルバムやツアーに参加している。
ぶっちゃけ楽曲は決して悪くない。アレンジがちょっとペナペナだったのが惜しい。おそらく素人衆からの新人発掘という感じだったと思われる主人公Jacquelineも健闘しているといっていいだろう。実際、彼女の声や歌い方はクセがない分、個性には乏しいかもしれんが、素直で聴きやすい上にしっかりグルーヴしているんだよね。かわいい声だし。4曲目のバラードなんかかなり出色の出来だよ。むしろワイルド系のキャラクター設定とのギャップが良い方向に作用しなかっただけなんじゃないかとも思う。確実に云えるのは、このプロジェクトにたずさわった奴らは、そのイロモノっぽさとは裏腹にかなり本気だったということだ。歯車が噛み合えば面白い未来があったんじゃないかな。

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コメント

フォロー、サンクス!

最近はアメコミ同人誌を置いてくれそうな、奇特なアメコミショップは全滅したので、『アメコム秘宝』はコミケに行くしか方法は無いよ。まぁロヒキア・ポストに一報あれば、別だけど。

> 歯車が噛み合えば面白い未来があったんじゃないかな。

イロモノとしての評価しかない作品なんだけど、ティム・バートンも言ってる事だけど、成功する、しないの差はほんの僅かな事でしかないんだと思う。自分もそう思っているから、こういったマイナーなものを取り上げているのかもしれないな。

投稿: ロヒキア | 2008/02/06 15:01

コミケかぁ。一般層には敷居が高いんだよなぁ。せめてロヒキア・ポストの場所がわかればなぁ。

いや本当に僅差で時代に敗れた人たちって仰山居るんですよね。もうまったくもってクオリティの高低と関係なく。ナイトキャットちゃんも一定のクオリティあったればこそ楽しめましたし、紹介するに値したかなと。

それにつけてもJacqueline Tavarezがその後に出演した唯一作と思しきエロバカ映画(多分)の『Tromeo & Juliet』って、何か10th Anniversary Edition のDVDまで出ているみたいじゃないですか。海外版だけどリージョンオールみたいだしー、買ってよロヒキア~。

投稿: SHIRO | 2008/02/06 22:13

トロマって『悪魔の毒々モンスター』の会社だろ?アソコの作風は合わないんだよ。ちなみに『悪魔の毒々モンスター』のアメコミ版ってマーベル・コミックスで出ていて、『ナイトキャット』と同期なんだよね。因果だねぇ~。

投稿: ロヒキア | 2008/02/07 11:14

『Tromeo & Juliet』って、あからさまに『ロミオとジュリエット』のパクリかつエロ多めに配合みたいな内容だったら作風とかどうでもよいんじゃないかと。
毒々モンスターのノリで、二人して死んじゃった後のロミオとジュリエットが墓場から復活~そして……みたいなのだったら、それはそれで観る価値はありそうななさそうな。

投稿: SHIRO | 2008/02/22 16:36

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