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2009/08/24

Around TFF 6 『No Soul No Strain』 Wire Train

Brian MacleodJeff TrottがTears For Fearsのツアー・バンドに参加する前、一緒に加入していたバンドであるWire Trainを紹介する。

No Soul No Strain

No Soul No Strain』 Wire Train
シンガーのKevin Hunter率いるサン・フランシスコ出身オルタナ・ポップ・バンドが1992年に発表した5thアルバム。この後、『Last Perfect Thing: A Retrospective』というド廃盤でプレミアつきまくり故にまだ聴けていない未発表曲集を出しているのだけど、事実上、彼らののラスト・アルバムにあたる作品だ。なるほどそうかのBill Bottrellプロデュース。バンド名そのまんまやんけ!なムサいジャケ写に引き気味の紳士淑女もご安心めされよ。決してグチャグチャなミクスチュア・ロックとかは飛び出さない。そこにあるのは、けだるい男性ボーカルとギターを基調としたアメリカン・ロック……というとSheryl Crowの男版みたいなのを想像されてしまいそうだが、それはそれで大きな間違い。全体的にもっと音も楽曲も軽いし、いろいろな音楽性を取り入れた雑多なポップスという印象が強い。女性なのに男っぽいぶっきら棒な歌い方のSherylと雰囲気は近いものがあるが、ボーカルはアバウトに云えばDavid Sylvian風に聴こえる。あんなに繊細な感じじゃないけど。ベースとドラムはけっこうファンキーだったりもする。「Crashing Back To You」までの冒頭4曲はまーノリノリだ。Jeff Trottのギターはとにかくいろんな音を出しているなぁというのが最初の感想。もっとカントリー・フレーバーな音(「Hey Jordan」など数曲でそういう音も聴けて、これがまた味があったりするのだけどね)ばっかりかと予想していたので嬉しい裏切り。それも自己満足で音を出している風ではなく、観客を楽しませようとして演奏している雰囲気が伝わってくる。アルバム全体にライブ感、グルーヴ感がたっぷり。個人的にはSherylの諸作より好きだったりするかもしれん。
そんなわけでTNMC崩壊後、Sheryl Crowは自分と同様に後から参加した経緯のあるBrian Macleodにどうすべきか相談したところ、Wire Train人脈でTFFのツアーでも一緒に廻っている作曲もできるギタリストとしてJeff Trottを紹介され、2ndアルバムを共に制作したというのが大まかな流れなのではないかと思われる。

実は本作の後、1993年に出るはずだった『Snug』という幻のアルバム(英iTunesでは今年1月から配信販売されている!)があって、そこにはキーボードで後にTFFに参加するJebin Bruniやバック・コーラスでSheryl Crowが参加しているそうだ。エグゼクティブ・プロデューサーはやっぱりBill Bottrellでね。この時点でSherylとJeffは顔見知りにはなっていたみたいだ。Wire Train、Tuesday Night Music Club、TFFというここら辺の人脈が、誰きっかけでどうして結びついていったのかはソースがないのだけど、すべてに関わったBrian Macleodがキー・パーソンではあったのかなと思うわな。自分でも文章だとゴチャゴチャしている気がするので、時系列を年表にしておくわ。たぶんそんなに間違っていないはずだけど、詳しい向きがいらっしゃいましたらコメント欄ででもフォローしていただけるとこれ幸い。

■Brian Macleod & Jeff Trott関連年表(1990年以降)
※注記なきものは2人ともほぼ同じ動きと見てOK
1990年 すでに大物プロデューサーであったBill Bottrellが自分のスタジオを設立
      Kevin Gilbertらに声をかけてTuesday Night Music Club結成
1992年 TFFからCurt Smith脱退。『Tears Roll Down (Greatest Hits 82-92)』発売
      Wire Train 『No Soul No Strain』発売
      この頃からBrian MacleodはTuesday Night Music Clubに参加した模様
1993年 Wire Train 『Snug』レコーディング(未発売)→Wire Train解散
      『Elemental』発売→TFF Elemental Tour Bandに参加
     ※ 『Elemental』プロデューサーのTim Palmerが紹介した模様
      Sheryl Crow 『Tuesday Night Music Club』(Brian参加)発売
1994年 TFF Elemental Tour続行。『RATKOS』レコーディング開始。全面参加
1995年 Sheryl Crow、グラミー賞にて3部門で受賞
      Sheryl抜きのTNMC(Brian参加)でアルバム制作の話が挙がるが実現せず
      『Raoul And The Kings of Spain』発売
1996年 TFF Live Kings Tour Bandには参加せず脱退
      『Sheryl Crow』レコーディングに参加→発売

いやー激動の年表だなー。ちなみに1996年はKevin Gilbertが事故死した年でもある。なお、Kevinの未発表音源がCD化されてドドッと来月出るようなので、そっちのファンは要チェックってことでな。

TFF的観点からまとめると、『The Seeds Of Love』から音楽制作時にOleta Adamsをはじめとしたアメリカのミュージシャンを積極的に取り入れるようになったTFFは、その後、Roland's TFFとなってからもその方向を推し進め、アメリカン・ロックの良いとこ取りをしながら音楽性を広げていったという流れの一端が垣間見られて面白いのだ。しかもサポートに呼び込んだ人材は、メインストリートからちょっとだけ距離を置きながらも凄まじいまでのセンスや演奏技術をもった強者ばかりだったということが見えてくる。Wire Train組もTFFと違ったシンプルかつ枯れた独特な雰囲気を持ち込んでくれたように思えるし、一方でTFFに似た緻密な音づくりに頷かされる部分があればこそ、一緒に仕事しようという話になったのかなぁと想像もつく。そして、アメリカン・ロックへの接近は、実のところTFF脱退後のCurt Smithの動向と極めて近いものでもあったわけで。おそらくは2人の音楽的嗜好性が呆れるほどすごく近いということでもあり、パートナーシップを取り戻す形になったのも自然というか必然的な流れだったようにさえ思えてくるというね。そして2人とも、キーボードではなくギターをメイン楽器とした楽曲やアレンジに接近していくという本当に同じような道程を歩んでいくんだよなぁ。そんなわけで『The Hurting』大好きっ娘は常に不満を抱えながら彼らのその後を見守り続けているのかもしれないね。たぶん。

さて、次回はJeff Trottに変わって『RATKOS』のプロモート・アコースティック編成から本ツアーまで参加した、本人より両親の方が有名といわれて久しいけど実力は本格派な女性で行ってみようかと。もう皆さんお気づきだろうけど、ATFFは『Elemental』以降の作品からだんだんさかのぼる形でTFF関連アーティストを紹介していくわけでな。

ちなみにWire Trainは来月、Knitting Factory Hollywoodを皮切りに再結成コンサートを行う予定だったりする。
たまたま紹介しようと思っただけだったのに、タイムリーすぎてヤダこわい。

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