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2010/03/15

Tim Friese-Greeneて人はよくわからんのだ

Talk TalkのようでTalk Talkでないのに、今回紹介するCDに貼ってあったステッカーでも「Talk Talk Musician, Writer & Producer」となっていて、肩書きはいかにもな感じで売っているというTim Friese-Greene。昔から何だか不思議な存在なのだ。

Talk Talkは元々、ボーカル+ベース+ドラム+キーボードというギターレスな4人組だった。1stアルバムはこの面子で録音している。で、キーボードが抜けて3人組になった2ndアルバムから、Tim Friese-Greene(長いので以下TF-G)は登場している。はっきり云ってそれまで無名だったのに、いきなり現れてプロデューサー兼キーボード奏者としてふんぞり返る。てか、そう云いたくなるぐらい大活躍しているのよ。たぶんTalk Talkの楽曲で最も知名度の高い表題曲「It's My Life」など数曲をボーカルのMark Hollisと一緒につくったりもしている。全体に華やかな音づくりで、キーボードの印象はアルバムを通じてもかなーり強い。ちなみにこの2ndからゲストがたくさん加わるようになっていく。何食わぬ顔でパーカッション叩いているのはBrand XのMorris Pertだったり。ギターもいる。Robbie McIntoshだ。はい、TFFファンはここ赤線引っ張って。この人がアレですよ『The Seeds Of Love』の数曲でギター弾いていたのね。ATFFにももうスタンバイしているので、予習したい向きは早めにチェックどうぞ。
で、脱線し出すと長いのでTalk Talk絡みの話はこの辺で抑えてだね。結局、TF-Gは最終作の『Laughing Stock』までバンドに付き合ったのだか付きまとったのだかわからんのだが、ここに至るまでのTalk Talkを音で追いかけるのは絶対に楽しいのでアルバム5枚全部聴いてくれと。メンバーじゃないけどメンバー的な立場でTF-Gという人が良い仕事をしていたことも確実にわかる。一方で、何と云うか顔の見えない感じも味わえるはずだ。で、その後のTF-Gは、Heligolandという名義で作品を発表するようになっていく。

Heligolandについても何度かエントリ投下しようかと思っていたくらいで、確実に長くなるので省略省略。1st『Heligoland』は、ほとんどひとりで全部つくっていて、けだるい本人ボーカルも乗っかっているのだけど、これ期待を大きく裏切ってギター・バンドの音なの。云わばブリット・ポップとかシューゲイザーとかそんなん。アコースティックな曲もあるけど。実はすこぶる出来が良かったりするのだが、それまでの活動を振り返れば何でこうなるの?というね。次に出た『Pitcher, Flask & Foxy Moxie』も同じ路線。若干、ポップさとブルージーな空気が増した。ヒネくれた楽曲&アレンジが多く、これまたニヤニヤものなんだが、Talk Talkっぽさはあまりない。一生懸命嗅ぎ取ろうという意識で聴けば後期の雰囲気はつかめるかもしれないけど。

10 Sketches for Piano Trio

10 Sketches for Piano Trio
Tim Friese-Greene

ソロ名義では初めての作品が昨年ひっそり発売されていた。それはもうひっそりと。Clusterみたいな抽象的ジャケ絵だが、まったくジャーマンな感じではなくモロにジャズ。これがまた何でよ?というね。タイトルのない短い作品が全10曲(合計24分17秒)並んでいる。この分数だけ見ればミニ・アルバムみたいだ。タイトル通りスケッチということで基本あっさりと。DiskUnionさんが「Talk Talkの後期作品に通じる」的に煽っているけど、ぶっちゃけぜんぜん通じていないよね? ちなみにピアノ・トリオの音が出てくるわけなんだけど、ぜーんぶTF-G本人のみの演奏による多重録音。ボーカルは一切なく、完全にインスト作品。で、ここがミソなんだけど、何と同じ曲が同じ順番で、左のスピーカーから10曲、右のスピーカーから10曲、モノラルで流れる。ということで収録時間は3倍の72分51秒だ。そういう意味ではフル・アルバムみたい。人気の楽曲を各スピーカーからふたつお付けしました!って通販番組かよ。もうお得なんだかどうなんだかもよくわからん。
前作に「Clasp」という曲が収録されていたけど、その前半のジャジーなパートの拡大版的な見方はできるかな。あるいは装飾を削ぎ落としてギター・パートをまんまピアノに置き換えたHeligolandと云い換えるのもあながち間違いじゃない。独特なけだるさや時としてミニマルなところなどは通底している。ライナーを読むと、「フリーでもフリーじゃないジャズでもない第3のジャズだ」とか、「テーマがあって、ソロ、ソロ、ソロでテーマみたいなジャズってどうよ?」みたいな発言があって、これから音を聴く人へのヒントにはなっているんじゃないかと。インプロがベースになっているが故のラフさと、それを全部自分でやってコントロールしているが故の構築度が同居していて、そこは面白さになっている。違う角度から考えると気持ち悪いのかもしれないけどね。Talk Talkを期待したらアウトだが、Heligolandもイケル口ならオススメできる。
なお、おまけ情報として、HeligolandサイトのListenページから、しれっとアウトテイクが1曲だけ聴けるよ。

あーあとTF-Gプロデュース作品にも興味深いのがけっこうあってね。もうすぐCatherine Wheelの『Ferment』がリマスタ&ボートラ入り再発されたりするので、近くCatherine Wheelも紹介やるかなぁ。今年はデビューから20周年、解散から10周年なんだよな。Rob Dickinson君も活発に動いている割にあまりスポットが当たっていないしなぁと。

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