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2014/03/10

『Touch The Sound』 聾の音楽家・Evelyn Glennie

『Touch The Sound』Touch The Sound : タッチ・ザ・サウンド
映画だ。2004年作品。パーカッショニストのEvelyn Glennieと元Henry Cowの我らがFred Frith。ふたりのコラボレーションというか交流を軸に、エヴェリンちゃんが故郷や異国の地(日本!)で音を探しつつ自分探しというか自分確かめの旅に出る姿をとらえたドキュメンタリー。何度か来日もしているし、クラシック・ファンの皆さんにとって彼女はけっこう知られた存在なのかもしれない。が、我らがFred Frithのコアなファン以外のプログレッシャーな皆さんとかにはあまり知られてないよな。佐村河内さん騒動のいまならタイムリーだからというわけでもなく、図書館で借りられたので観てみた。ついでに彼女のCDとか自伝も借りてガッツリ漬かったこの数日。ちなみに彼女は全聾ではなく若干聴力が残っているというところは勘違いのないよう一応、念のため。

映像は動きを追う。
街、自然、人、空間、風。

8歳頃から徐々に音を耳で聞けなくなっていった彼女はそれでもラッキーだったのだろう。そのことに自然と順応する感性を持ち合わせ、聴こえないなりに世界と向き合うにはどうしたらいいのかを自分で考え、実践できたのだから。

彼女に手話通訳はいない。リップシンクで相手の言葉を聞けるからだ。その代わり、相手を食い入るように見つめる。そこかしこに転がっている音を見つけるのと同様だ。見つめ、身体で感じようとする。

音は動きだ。フレッド・フリスが自らの体験を語り「呼吸はリズムだ」と彼女に伝える。そこから鬼太鼓座との交流シーンに移り、そこでも呼吸と音の関係性がクローズアップされる。完全な無音室に入ったとき、何も聞こえない世界を体験できるのだろうか? 否。人は自らの心音や身体が発する音を聞くことになるという。そんな話を思い出した。

枯山水に食い入るEvelyn Glennie。音を感じる。

しかし大事なのは表現し続ける魂だ。この映画を観て感じるべきは実はそこだ。自分の音を表現するには鍛錬が必要なはずなのだ。音に身をゆだね楽しむふたりしか出てこない錯覚に陥る映画ではあるのだけど、彼らは正確に楽器を弾けるだけの能力者であることも忘れてはならない。譜面より音を感じる方が大事という言葉は、譜面の音楽を体得しているからこそ云えるのだ。

でもまぁ、音楽は設計図みたいなものではつくれない。
もし現代にベートーヴェンがいたなら、聴こえないなりに懸命に演奏していたことだろう。
たぶん、本物のベートーヴェンがそうしたように。

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